渓 流 随 想 (五)

白石川 七ヶ宿町、看板に偽り無し

バスからおりるといきなり大きな看板が目に付いた、観
光地によくある案内板だがここはいわゆる観光地では
ないはず。
書かれているのは山と川それになんと岩魚の絵である、
支流に入ると岩魚が居るよ!と言う事なのだ。
(看板を写真に撮っておけば良かった!)

     ネコ沢というカーイー小沢

1977年7月9日
「七ヶ宿町」良い地名だ。白石からバスで1時間「関」に
到着、わくわくさせる看板の下にタクシー会社があった
ので早速看板の岩魚と共に書かれている大深沢を指
名して乗り込んだのでした。

30分もしないでタクシーが止まる、林道はこの先入山禁
止だとか。
そこには家があり、支度をしているとおじいちゃんが声を
賭けてくれた。なんとお茶を入てくれた上に、さらに「イワ
ナがおるから」と対岸の支流へ案内してくれた。

      尾形さん宅

○○沢と言う小さな沢だがイワナが5匹釣れる、戻ってお
じいちゃんに報告するとお茶と砂糖をまぶしたフキの煮
物をご馳走してくれたのだった。
更にバス停の関にある畑中旅館に予約の電話まで入れ
てくれた、なんと親切な事か。

      実際は五匹、小型だけど

宿は一泊二食付き3000円、翌朝は別の沢に狙いを変え
て4時に出発、その沢も案内板にイワナと共に書かれてい
た所。
朝食に替えておにぎりを作ってもらった。
予約したタクシーは昨日と同じ運チャンで、「竿を用意して
きたから餌を分けてくれ」だと。
喜んでミミズを一掴みあげたのだが、釣れたかどうかは
判らない。

      これならマアマアのイワナ

流れは渓流好きの私好みの程よい落差と適度な水量で
素晴らしいたたずまい、この日のイワナ三匹は昨日の沢
よりも型が良く満足な一日をすごす。

初めての渓流で親切なおじいちゃんが居て、宿は安くて
綺麗な若奥さん。
気さくなタクシーの運チャン、バス停の看板に偽りなくイワ
ナが釣れて、昼前には竿をしまい渓沿いをのんびりと気分
良く下る。
釣りを始めて三年目すでに渓流の「とりこ」に成ってはいた
が、とても楽しい釣りの旅だった。

その後度々訪れるように成ったのは言うまでもなく、 鳴瀬
川の釣行の折りなどにも「帰りがけ・行きがけの駄賃」

頂戴した。
しかし
近年はすっかり型も小さく数も少なくなってしまった、
更に林道も荒れぎみでブッシュもひどくなっている。
1999年には後輪がパンクして雨の中でのタイヤ交換、

タクシーで入れたことなど信じられない 状況である。

             
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