渓 流 随 想 (六)

振草川、二月解禁

二月ともなれば解禁真近との実感がしてくる、特に2月
16日を解禁日としている長野方面の渓流ファンには格
別の響きがあるだう。

新発売の雑誌はすでに三月号だったり四月号だったり
して、釣り雑誌も「解禁情報」がトップメニューである。
まだ「温暖化現象」なる言葉は使われていなかったと思
うが現象は起こっていたのだろう、二月にしては暖かい
日と「長野解禁」と「何万匹放流」とに誘われ出かけた
のだった。

1977年 二月十七日
列車を乗り継いで愛知県は北設楽郡なる「解禁の地」
へ向かったのは、渓流に魅せられ三シーズン目を迎え
る春のこと。
東京駅23:28〜豊橋4:43、乗り換えに一時間以上
も掛かって浦川7:35着、八時間を越える「遠くへ行き
たい」ではあった。

    

さらにタクシーに乗り込んで¥630、たどり付いた東薗目
は雪に霞んでいた。トホホ
リュックを担ぐのを見て「なんかねー」と運チャンが聞い
てきた、渓流釣りと応えると「何ぞおるかね」と不思議そ
う、・・・ンー釣れなそう。

第一村人ならぬ第一農家発見、しかも「遊魚券」の木札
付きだが静まりかえる雪の朝。申し訳なくも雨戸を叩き
300円也の橙色荷札を購入、何かしら気の毒そうに見
送られたような気がしてならなかった。
さて東薗目川といえば長靴も要らぬカーイー小川であっ
た、ほな西薗目川といえどもひとまたぎのチョロチョロ川
成りし、えらい所へ来た所ジョージ。

さればと両川の合流点はいかに、なるほど倍には成った
が所詮小川に他ならず。
それでも竿を出し、仕掛を付け、ブドウ虫を付けて水中
へ、冷たーい風が吹く中仕掛を上げればピンと氷って真
っ直ぐに。寒〜
今思えば良くも釣りの形を取る気に成ったもんだと、感
心してしまいましたよ我ながら。

しかしそんな中で釣り人に出会い車に乗せてもらった
と書いてあるのだ、大井川水系はアマゴも岩魚も沢山
居ると聞かされたとも釣りノートに書いてある。
まるで覚えていないのだが浜松まで乗せてもらったら
しい、どちらの何方様か解りませんが誠に有難う御座
いました。

そしてこうも書いている。
   「放流」は眉ツバもの!、
   渓流の大きさ地図を検討!、
   雑誌は無責任!、
いちいちオッタマゲーション!マーク付きである。!
いろいろ読み物はあるものの釣り雑誌の渓流情報ほど
当てにならないものは無いと、この頃しっかりおそわり
ました。

記2001 2/1

             
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