随想37 特集、小蛇尾川-2

大漁(私にしては)
1980 6.7 
雨の後なので、蟇沼(ひきぬま)の酪農家でミミズを取らせてもらい集落の
裏に進んで駐車。萩平側へ渡渉し、合流堰堤の下を再び渡渉して入渓し
た。
やはり増水ぎみだ、二番目に有る鉄の橋が架かる「大きい堰堤」の溜まり
が、三倍くらいに広がっている。見ると良型ヤマメが悠々として居るではな
いか、テンカラは車に置いてきてしまった。

止水でミミズじゃ無理でしょう・・・釣れました!。キジを躍らせ近寄ったとこ
ろでスッと沈めるとパクリ!、26cmのみごとな山女魚。この日は好漁で、
さほど登る事も無くイワナ5匹を追加できた。
当時は持ち帰っておふくろさ
んの土産にしていたが、3〜4匹で止めるのが普通だった。


山女魚1、イワナ5
「ダム工事だ
1987 5.10 
7年ぶりである、その間は他の支流や福島や宮城へ出かけていた。

驚いたことに下流でやっていた工事は渓沿いにダンプ道を作っていたの
だ、大きい堰堤手前にひかれている分厚い鉄板はこの時のものである。
そして「大きい堰堤」をなんと斜めにまたぎ、鉄骨のダンプ道が堰堤上
150mほど先の対岸にポッカリ口をあけたトンネルに吸い込まれていた。

驚いてしまいましたがその上から先は何の影響も無く、相変わらず美しい
渓のままだった。


だがしかし魚影がめっきり少ない、それもそのはずだ4Kmほど上流にさっ
きのトンネルの出口がある。ポッカリ開いた口のその前に広大な工事現場
が出現していた。
想像を絶する光景は現在のダム地点だ。


1988.6.23
工事の進み具合の調査?に行ってみると、二番目の例の大きい堰堤が
鉄格子でストップされて進めない。看板に「入山の方はこちら」とあり、尾
根に取り付く狭い山道が作られていた。元々登山道があったらしく示され
た地図によると6Kmほどの行程で工事現場の上流へ出るらしい。。
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尾根ルート
1989 7.? 
今回は山越えルートに挑戦だ。これがキツイ!、始めは杭で作った階段
状の急勾配を30分も登らされるのだ。汗ビッショリ、二時間近くも掛かっ
て上流にたどり着いた。ハーハー。

現在のバックウォータの少し上流である、さすがに入渓者は少ないとみえ
太ったイワナ五匹が簡単に釣れてしまった。しかし、又あの道を帰るのか
と思うと喜んでも居られない気分ではあった。



上流の取水提

さらに上流へ行くとそこにはもう一つ取水提が有って、上からの流れはす
べて引き込まれている。小蛇尾の水の綺麗な訳はこの取水提の下から
染み出る伏流水の成せるものだったのだ。


1991 7.8 
又一年ぶりに足をきたえに来た。
急勾配を登りきると遥か先に、逆三角形のダムが白くぽつんと見えた。
ダムが完成しつつある。最初に二時間近く掛かった行程も1時間40分
でクリアする。


遥かに白いダム

そこから少し下がったダム工事現場近くでは人が入りにくいせいか太っ
たイワナが釣れたが、まもなくダムの底に沈むのだ。
上流側では人が多いのか型が落ちゴミが目立つようになって、悲しい事
です。

消えゆく渓
1992 7.9 あーそれなのに又来たのだ、水の綺麗さと渓相の良さ
に引かれて。帰りのルートで尾根道から工事現場を見下ろすと、ダンプカ
ーが4〜5台もスルスルと玩具のように動き回っていた。


観光地などの川ならばダムが出来るとなれば反対運動も起きるだろうが、
釣り人くらいしか知らないような川は知らぬ間にダムが出来てしまう。悲し
い事に、本当に綺麗な渓流が人知れず消えて行くのだ。

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1996 6.6 
4年ぶりに来てみると「大きい堰堤」の鉄格子は無くなって、九年ぶりに入
る事が出来た。堰堤を乗り越えていたダンプ道も取り払われていたが堰堤
上の溜まりはすっかり埋まり、水量も半減して寂しい限りである。
それでも、わずかながらイワナが見えたのが救われる。

竿を出す事も無く1Km?ほども行くと右岸に放水口が出来ていて、これが
現在の小蛇尾の「淋しき水源」であった。この位置には以前は沢が落ち込
んでいたはずだ。
その少し上で金網と鉄格子に阻まれストップだ、ダムが近いらしい。

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エメラルドグリーン満杯

満水のダム
1997 4.27 前回の状況から下流はあきらめ、又山越えルートで上
流へ。
出現したダムにエメラルド色の水が満ちているのをまの当たりにして、何と
も表現の仕様の無い気持ちで胸がいっはいに成ってしまった。そんな気分
を振り払うよう
にテンカラを打つ。

FFに挑戦
同年 5.13 ダム下、鉄格子の行き止まりの脇から右へダムサイトに
登れる事を知り、だいぶ楽に上流に出られる事になった。

ダムを渡りバックウォータへ向かうと釣り人が二人、ルアーでダム湖をせ
めていた。そういえばダムが出来ると数年後に大型の岩魚が現れると
は、よく聞く話です。


初のFFで2匹
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今回は春の売り出しで安物だがFFセットを買ったので、練習もせずに持
ち込んだ。テンカラをやっているせいか「結構出来るじゃん」。

餌では何時もアタリの無い流真脇のたるみへキャストすると、一発で21
cm強が飛びついた「やるじゃん!」。しばらく登った所でやや大きめをキ
ャッチ、
「やるじゃん!」
しかし釣れたのはそれまで、
「だめじゃん!」
初めてのFFで二匹釣れれば、まッいいか。
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わが身のような痩せた岩魚
.
後日、バックウォータ付近で34cmの岩魚を釣ったが気の毒なほどやせ
ていた。小魚も居ないから餌不足なのは違いないだろう。
その後は全くというほど釣れなくなって、それがコジャビでの最後のお魚
さんになってしまったと思う。

数年ぶりに行ってみると大堰堤の鉄の橋が落石で曲がってしまっってい
た、それからコジャビへは足が遠のいている。
鉄の橋、現在は切り落とされて跡形も無いそうだ。
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落石でひん曲がった大堰堤の鉄橋


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