随想37 特集、小蛇尾川-1

小蛇尾川-1 栃木  「イワナもヤマベも泳いどる」
1975 9.19
地元では「こじゃび」とよんでいるようだ、この川を知ったのは栃木の
ガソリンスタンドである。

安家川と大倉川で良い思いはしたものの、岩手と宮城ではチョックラ
行ける所では無い。二日前にやはり初心者の知人に乗せてもらい雑
誌で見た栃木の小来川へ行ってみたが、減水時期だったせいかとて
もイワナが居るとは思えなかった。

その帰り、ガソリンスタンドで、何処か良い釣り場は?と聞いてみたら
「コジャビならイワナもヤマベも泳いどる」との有りがたい御言葉を戴た
のだ。
ならば早速一人電車で西那須野、勇気あるダメモト決行。
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萩平の蛇尾川合流下の取水提の前
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TAXIで関谷まで行き、まずは宿を確保する。

そこから大雑把な地図を頼りに川を目指して歩いたのでした、どれく
らいか歩いて川に出たが石ころだけの川原であった。蟇沼集落の裏
あたりで伏流していた。ではと上流目指して水を求めて、更に歩いた
のだから我ながら関心?してしまうよ。

しばらく行くと河原に水が見えてきた、当時は今の取水提から2〜
300mは水が流れていたのだ。
初日はまずは川探しで終わる、渓流釣り初年度のこと。

翌朝、関谷の泉屋旅館からおよそ一時間で取水提に付いた。
当時は蟇沼を過ぎて集落の裏手に細い小径があって小山を越えると、
そのまま川の右岸(左手)に出られたのだ。川に桟橋のような物が掛
かっていて取水提脇から合流堰堤へ。

   

だから川を渡渉することなく、合流堰堤から遊歩道へと上流までスニ
ーカーでもイワナ釣りが可能だった。
現在は舗装道路になって小蛇尾ダムに抜けるトンネルが貫通し、昔
の地形は見つからない。

    
            取水提上の合流堰堤
取水堤からはそれはそれは美しい流れを金網の橋で左岸へ渡り、
鉄の階段の掛かった大きい堰堤を越える。金網の桟橋で堰堤上を
進むと桟橋が終わったところで早速竿を出してみる。

当たり前の落ち込みでイワナを二匹、バラシが二回。ウレピー! 
帰りに取水提脇の導水路で40cmは有る岩魚を見つけたが、どうす
れば良いのかわからなかった。今思えばもったいなかったですなー。



鉄の階段と鉄の桟橋で越える大堰堤(上流から)
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1976 5.6 (翌年)
解禁から伊豆・山梨・静岡・埼玉・群馬・と雑誌を頼りに出かけたが、
釣れません。今思返せば入渓場所の問題とか車でなければ無理と
かもあるが、雑誌の記事が古くて今や釣り場とは言えないものが少
なくないのも事実。


やっぱり「こじゃび」だ、今回は上流部が見たいので途中は飛ばして
小径を進む。なるほどG・スタンドで言うとおり、あちこちで「イワナが
泳いどる」
のが見えるのです。

水の綺麗さと素晴らしい渓相、なんだか嬉しくて釣りをするのを忘れ
てしまった位だった。一匹だけ「大岩裏」の流れの無い溜まりでオニ
チョロを水面に、チョンチョン釣りでキープ。今年の初物は25cmの
岩魚で、当時の自分の大型記録となった。
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チョンチョン釣りのイワナ
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「それからと言うものは」
その頃は免許を持っていなかったから電車での前夜行で、シーズン
に2回くらいは出かけることになった。
上野23時55分発で西那須野2時20分、TAXI¥2.030で蟇沼着。
そこから歩いて15分で取水堤に到着し、明るくなるまでのんびり歩く
のである。


そして前の日から一睡もせずの釣行にもかかわらず、蟇沼から西那
須野行き最終上りバス5時30分に間に合うよう渓沿いの小径を走っ
て戻るのだから若かったなー。

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魚がおよいドル

水が綺麗で魚が見えるからいろいろ試したくもなる、ルアー・テンカラ・
フライとやってみた。流れるのをそのまま掬って飲めるのも嬉しいこと
で、私には別世界でありました。

何年からか萩平からしか入れなくなっていた、当時の萩平の広場には
北側に山を背にして三軒ほどの民家が並んでいた。それが何時無くな
ったのか覚えていないが、民家を知っている人も少なかろう。

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中流の二段堰堤
1980 6.3
1979年に免許を取得、他の渓流で釣れても釣れなくってもこじゃび
に戻って遊んだが。この年から合流堰堤の下と萩平でなにやら工事
が始まった。

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ここで使用した写真は紙焼きをデジカメで撮ったものです。

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