渓 流 随 想 (七)

三国下津川の ぬし

「ばらしばなし」 つまりバラした話は幾らも有るが釣りを始
めて2年目の大物は忘れがたい。

随想(二)登川の二週間後に同じく六日町からタクシーで
国川最奥のわらび野集落、野中バス停に到着、
3時50分
はもちろん夜中である。


10月14日?
当時新潟は10月16日が禁漁日で他にも釣り人が居たか
らおきて破りでない事は確かである。

今はダムが出来ているが十字峡まで一時間、とう々と流れ
る川沿いを
懐中電灯を頼りにひたすら歩く。更にほとんど枯
れている下津の
林道を登ること30分で取水提にたどり着い
た。

       紅葉は綺麗だが

踏み跡をたどって入渓し3時間ほども釣り上がったがアタリ
一つ無し、取水提まで戻った時は疲れ果てていた。

釣れなかったのでは無い「居なかったのだ」多分そうでしょ
うョ
それでもなお取水提への踏み跡に上がらず川を歩い
取り入れ口まで行ってみる。
まだ諦めていない
のだからあきれてしまうよ・マッタク。
-
障害物が無くかなりの勢いで取水口に流れ込んでいくその
少し上に鎮座まします大きな石、そしてその裏の
たるみ。
これはもう・・・そうでしょう。


      ここはもう間違いなし
北・来た・喜た
ほとんど向こう合わせでググッと来た・きた・キタ!、手前は
大石に二分された急流だから引き寄せるのは危ない。

抜き上げるしかないなかなか浮き上がらない、しかるにタモ
も無い。

竿が大きくしなり反動で魚が飛び出したがスローモーション
で落下する魚体を受け止めるすべは無く、
ドボーン”・・・竿
は真っ直ぐ天空を指していた。


この時もわらび野まで戻り、集落前で七寸程のイワナを5匹
釣ると言う登川と同じような事になる。

・・まだ諦めていなかったのら。

       入山者の記録簿があった
40センチ
ここに民宿は無かったが親切なことに最奥の民家に泊めて
もらう事が出来た。その朝である、ご主人が40cmも
ある鯉
のような岩魚を生きたまま持って帰ったのだ。

何処でどうしたのか聞くことも出来ずに、昨日の下津川のぬ
しを思い返していた。


             
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