漆沢の尺岩魚 1982年から通い始めた鳴瀬川の支流-漆沢は仙台の 北にある。 最初のいきさつは「随想32-夕日沢」で書いたので、今 回はその「尺の時」に話を絞ろうと思う。 1986年七月二十四日 梅雨明け宣言がされないまま、今年もはるばるやって 来た。2〜3日前まで降ったり止んだりしていたとの事 で、増水が気になるのだが。 「増水で入れないかも」、「増水で大物が出るかも」果 たしてどっちなんだろう。 ![]() 漆沢ダム(随想夕日沢も同じ写真) そんな期待と不安とが入り混じる切ないほどの釣り師 の心持を乗せて車を走らせ、底をこする度に思わず腰 を浮かせながら林道を詰める。 漆ダムはかなりの水量で満たされていたがダム上流 はチョット多め程度だ、「イかったー」と急いで支度を整 え上流を目指す。 最近は手前があまり釣れないから二股へ急ごうと思い ながらも、林道が崩れて渓に降りれば結局竿を出さず におかりょうか。 結局竿を出すがしかしやっぱりアタリ無しで二股着、そ れどころか二股過ぎても小物だけ。 渓相は相変わらず良いのだが・・・。 ![]() ダム上流(93年五月の増水時) 前日あたりに入渓者がいたのかも、などと考えていると 証拠発見!八寸弱のイワナが落ちていた。 見知らぬ釣り人の良型を取りこむ姿が脳裏をかすめる、 「釣られた直後で駄目かもしんないなー」。悪い予想は 当たるもので、昨年2匹の良型が釣れた落ち込み下の 淵さえナンの手応えもありゃしない。 そうなると疲れは出るでる腹は減るの反比例、気が付け ば昼はとうに過ぎていた。昼飯だまだ口をモグモグしな がら目の前の大石裏へオニチョロを落とす、スッと糸が 張る!合わせると八寸岩魚。 一気に目が覚めた< 寝てたんかい!>。 一昨年に泣き尺を釣ったポイントがすぐそこだ、とたんに 釣り師の姿を取り戻し腰を低く・頭を低く、じわりそろりと ポイントへ。 ![]() 初の尺(てんからアニメバナ−もこれ) そこは一見たいしたポイントには思えないところ、石ころ と小さな流木が重なって20cmほどの段差を造っている 。その程度だが落ち込みの裏にエグレがあるらしい、そ こに岩魚が潜むのだ。 2cm5mmの取っておきオニチョロを差し出す様に流し 込む、水音が耳鳴りと化し他になんの音も聞こえない。 時が止まる・・・・・・、 糸を張る、居る・・・・小さく鋭く合わせる!、 ググー!一気に抜き上げた。 バタンバタンと跳ねる岩魚を見るまでもなく尺物を確信し ていた。 最近のネット情報によると林道工事が奥へ進んだことで 入渓者も多くなり、ゴミも増えてメッキリ魚影が減ったと 言う。 更に渓そのものも埋まってきている事も重なってか、 随 分と型も悪くなっているそうです。 久し振りに訪れたい気もするが、思い出の尺岩魚の渓 (たに)の寂しい現状を 見たくない気もしています。 随想記メニュー |