摺上カラス川、心に残る渓 1980年 渓流釣りにはまって五年目すっかり虜(とりこ)に成ってし まい、このシーズンは5月30日がすでに七回目の釣行に なった。 福島県へは前年に奥久慈へ入ったがそれは北茨城の続 きと言う感じであるから、正規の福島入りとは認めがたい。 ルートの違いからも、飯坂となれば初めての福島入りであ る。 前夜に出発し矢板のパーキングでひと寝入り、飯坂温泉と 穴原温泉を抜け茂庭から名号まで、くねくねと摺上川添い を行く。 カラス川の林道に入るとすぐにゲートに阻まれた、残念と 思ったが後で思えばそれが良かったのだ。 ![]() 支度を整え竿を携えて歩き出す、さていよいよのこの気分 が松本イイーヨ 。・・/* しばらく歩くと林が切れて視界が開け左手にその流れが見 えてくる、清らかで豊かな水量が駆け下る素晴らしい渓流 である。 そしてイワナが釣れたなら言う事無し、期待に胸がはちき れそうな心境で最初の堰堤から入渓する。 提の上は当然ザラ場だがすぐに渓流を取り戻し、と同じに 小型のイワナが釣れてきた。型はどおあれ初めての渓で の初めてのアタリ、いいもんです。 次は長細い淵の尻、チラリとうごめく気配がし、岩陰からそ の1mほど上へキジをそっと落とし込む。目印がポイントを 通過して流れ出しに向かって浮き上がる、そこでピィッ!と 合わせれば七寸級が来た。 水量豊富な渓流は探り甲斐が有って楽しい。 もう一基堰堤を越え渓流が回復すると、型道理の落ち込 みで今度はヤマメの18cmが続けて二匹。 順番が違うけど両方が釣れるのは嬉しいもの、普通ならヤ マメの後にイワナが番順だ。さてこの先が楽しみだが明日 に残しておこう。 翌日はその先まで歩いてから入渓する、その辺りは存外 ザラ場が多くなったがイワナは居た。 結局二日で10匹以上を釣ったのだから私にしては釣れす ぎ、しかしこの日出会ったルアーマンの魚篭には二十匹 ほどもが折り重なっていた。 ゲートがあることで釣り人を制限出来ているのだろう。 ![]() ところで 渓流情報というものは釣れる場所は簡単には明かさない ものですよね、解っている人はすぐに合点がいったと思い ますが工事中なのです。 「随想28裏磐梯」の時(92年9月)にすでに入渓禁止に 成っていたのは、始まる摺上川のダム工事の影響だった のだろう。 日記99−3に記したが99年の9月9日にも久し振りのカ ラス川を目指した所、ダム工事の真っ最中にぶつかり驚 いてしまった。 茂庭の先に広大な荒地とワダチとキャタピラの跡、いずれ 巨大な要塞が出現するのだ。 ダム上流に流れ込むカラス川が何故禁漁かと言うと、工 事の石材を採取しているのだ。 発破を架けての大規模な工事である、工事が終わっても あの素晴らしい渓流は全く別なものに成ってしまうのでは ないかと気掛かりだ。 「工事が終了しだい尋ねてみよう」と考えている一方で、 恐らく二度と尋ねる事は無いのかもしれないと・・・。 自然の渓流が消えて行くと言う事は思い出の渓が増える と言う事、減少するのみの綺麗な渓流を残して行く方法は 無いものでしょうか。 記2001 2/23 随想記メニュー |