| 立山黒部アルペンルート 
 88年10月
 山好きのM君から「何時も岩魚を追って谷底ばかり徘徊
 しているでしょうから、たまには山へ行きませんか」、と
 誘われて新宿で待ち合わせた。
 こちらは30分チョイでアルプス広場に付いたがあちらは
 静岡から来るのである、釣りにしろ山にしろ対象は何で
 有れ好きな事への情熱と言うか執念と言うか、たいした
 ものです。
 
 
   ぽつんと見える「バンザイ」がM君
            
 黒部ダムから室堂へ向かう満員のロープウエーを
      途中
 で降りる事にするとこれが正解で、先ほど迄
      の喧騒が
 嘘のような静寂に包まれた。
 ご覧のようにダーレも居ないのじゃ、いい気分でし
      た。
 まるで我が庭でも有るかのように、それこそ我が物顔で
 のトレッキングでした。
 但しもう一人が女の子ならネー 、お互い様じゃィ。
 
 たしか弥陀ヶ原で一泊、翌日は称名の滝、富山から宇
 奈月温泉という「M君におまかせルート」は順調に推移
 した。もっともこれは「おきまりコース」なのだから。
 
 
   
 そしていよいよ黒部川を登るトロッコ電車である、これ
 が今回のクライマックスだかんね!。
 4時、雨が降っていた。
 
 「登り電車は終了しました」・・・ガーン!
 *おまかせ・おきまりコース*はここで遇えなく断絶した
 のだ。
 
 M君が言う事に「黒薙温泉まではたいした事無いから
 歩きましょう」、おいおい雨の中 線路脇を歩くのなんざ、
 たいした事が無い訳が無い。
 カッパを取り出すM君を後ろに 駅員室へ行き「温泉に
 予約しているのだが」と相談する、貨物車両は動いて
 いるようだ。
 
 聞いてみるもんですOKです、次ぎの貨物車両に搭乗
 許可がおりたのです。 おかげでたった二人きりの「特
 別専用車」と相成りおおはしゃぎで乗り込んだのでした。
 
 
   
 黒部の支流黒薙川の川岸に温泉宿があって私には初
 めての露天風呂を、そうとう楽しみにしていた。見ると川
 岸を削った窪みにセメンを流しただけ、湯も普通のホー
 スで引いただけ。
 ま・露天風呂にはちげーねー。
 
 宿の人が言うには何年か前に関西の釣り人が黒薙に
 入り石油缶に相当の岩魚を詰め込んで宅配したのだと
 か。
 釣り竿・持って来てねえー!
 
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