渓 流 随 想 (三)

那珂川、刑部沢
ギョウブ沢と読むらしい

「渓流釣りは足で釣れ」と言われるが全くその通り、一時
間や二時間の歩きは当たり前。かな
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ともかく、渓流釣りは歩けば歩いた分だけ戻らなければなら
ない訳だ。車を降りてしまうとこの歩きを節約する方法は無
いから、分散する事を考え付きます。
テントを持ち込んで釣り場で一泊すれば、歩きは片道で済
むのだからして。

釣り場で泊まるともう一つ良い事が有る、この方が大きい
利点かもしれない。それは、釣り場へ一番乗 り出来る事。


1986年7月7日
深山ダム上流大川支流

ダムを渡りダム沿いをからバックウォーターの橋を渡って
大川をさらに上流へ。
ダム沿いまでは舗装されて楽だがいきなり荒れたダートに
変わり、雨の後はしばしば通行止めにもなる。
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4時
本来の目的から言えば一時間は歩きたいのだが、練習だ
から30分で勘弁してあげよう。小渓だから一時間も行くと
流れがか細くなってしまい、かえって釣れないだろうから。
しかしいざテン場となると中々良い場所が無い、ようやく雑
草が生えているがまあまあ平らな場所を見つ けた。

石をどかし草を踏みつけてテントを張ると今まで何の変哲
もない所に我が家が出現してしまう、なにか不思議なもの
である。
 「何時もなら 下る時刻に登る渓
         今日のねぐらを 何処にタテント」。


   
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夕まずめと言う事で付近を探ってみたがチビイワナを二匹
リリース、アタリ無しよ りはマッいいか。明日は一番乗りな
のだから明るいうちに夕食だ、インスタントラーメンとおにぎ
りでOK !、これが美味いんだよネ。
谷間の夜は早い、闇が深くなる成るにつれて沢音が深まる。
他には何も無い、明日の釣りに思いをはせる自分が居るだ
け。
暗闇にたった一人の本当の夜だ、これもイワナ釣りの醍醐
味であろう。

サブー
まだ薄暗い内に目が 覚めた、寒くて目が覚めたのだ。
昨夜のラーメンスープを温めておにぎりを半分放り込み、ぐ
つぐついわせてフウフウ食べる。
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その内明るくは成ったが谷間に日が差すにはまだまだで、
テントから出られない。7月生まれの釣り人は寒がりなのだ
。 やむなくジャンパー代わりに寝袋を体に巻きつけ、やっと
出陣する。

最初に落ち込 みで釣れたチビイワナはリリース、しばらく
登って18cm。次ぎも同型のいずれも痩せたイワナである。

    

谷が少し深くなった所でやっと20cmを二匹、よし・もうすぐ
あの滝だ。
餌を補充しておこうと、オニチョロ を捕まえていると
「釣れましたかッ!!」

上から声がした、ニコニコ顔の釣師が降りてきたのだ。
スープ をフウフウしている間に先を越されちゃったのラ。
寒がりの釣師はテントを持ち込んでも一番乗りを果たせな
かった、のでありました。

   
       画像は紙焼き(デジカメは無かった頃)

それでも折角来たのだから、滝を越えて更に上流へ。
なかなかの渓相が続いて岩魚釣りの雰囲気は充分に楽
しめる、ただ今日は増水がきつ過ぎるだろう。

源流近くの上二俣まで登ってしまった。
2分するが狭い急流になるようで、川虫も取れなくなった。
ここで終了です。

その後は1992にチビサイズ、94と95にはお団子=0と何故
か釣れなくなってしまった。
バックウオーターの橋にゲートが出来てその先は歩きのみ
となった、ならば復活もあるかと行ってみたがお魚見ず。。

何度か様子見に行った事があるが、ゲート前には何時も
何台かの車が来ていて上流に行く気にはなれないでまま・
そのまま、、、。

      2012 03.14 写真と一部修正
             
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