| 烏川、金色の岩魚 最近渓流釣りを始めた人の場合「岩魚は虹鱒に良く似た 色をしている」と思っている人が多いのではないだろうか。 温泉宿でも虹鱒をイワナの塩焼きと称して出している所も あり、「これはチャゥ!」と言われないのだそうだ。 ![]() (東北のアメマス系イワナ) 釣りを始めた1975年岩手の安家川で最初の岩魚に出会 ったがこれは当然アメマス系である。 関東地方でも現在釣れるのはほとんどこの系統の放流物。 黒から銀色のまだらグラデーションに白い斑点がちらばって いる。 釣れる場所によって白っぽいか黒っぽいかで、いわばモノト ーンである。 翌月に一人、電車とバスを乗り継いで群馬の烏川へ出かけ た。高崎からバスで小1時間権田の権田館に立ちよって宿 を確保し、次のバスで月並下車。 川沿いの砂利道をテクテク・テクテク、新開あたりから入渓 する。しかし初日は10cmに満たないヤマメが釣れただけ、 下流すぎたのだ。 翌日は暗いうちに宿を抜け出し上流へ、(テクテク×2)×2、 小さな橋の下に小滝状の落ち込みが在り20cmのヤマメが 釣れる。当時は水も綺麗で好天に恵まれ、真っ青の空の下 「渓流っていいなー」読み返へすノートにそう書いてあった。 その少し上に2mほどの滝が日に照らされて輝いていた、真 っ白な泡が切れると底石がはっきり見える。 一投で掛ったイワナは黄金色に光っていた。 頭部から背ヒレあたりは茶褐色だが腹は真黄色、体側は金 色でオレンジ色の斑点がちりばめられている、安家の岩魚 とはまるで違うその姿に目を奪われたものだ。 25年も前の事だがこの時の岩魚は良く覚えている。 暗い場所では茶褐色だが底石が明るくて日の当たる所に清 冽な流れと、条件が揃えば金色に輝くのだ。 ![]() その後、西那須野の小蛇尾でも同じような岩魚が釣れたか らニッコウイワナが貴重な存在になってしまうとは思いもしな かった。 上の写真は1976年小蛇尾の岩魚だが貴重な写真かも知 れない、ここも10年以上も前からモノトーンイワナに変わっ てしまっている。 この記事は1990年代に気付いた事を書いたもの、現在は ニッコウイワナの養殖・放流が行われているから釣れるイワ ナはほとんどそれだ。 同時に天然イワナと放流イワナの交配が進み、 ニッコウイワ ナの原種はさらに 減少していると思われる。 2002年6月 富山県遠征で正に黄金の岩魚と遭遇、立山 には未だに天然の日光岩魚が生息している。その谷を黄金 の沢と名付けたが他の谷にも実に美しい岩魚が生息してお り、嬉しい限りだ。 何時までも守って行きたい、宝物のような存在である。 |