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美しき一ノ戸川 (いちのと川) 一ノ木、蔵の宿 飯豊連邦から流れ出るこの渓流は清らかな流れである。 特にこの時期、残雪を残して輝く山々がバックコーラスを 努めていっそう美しい。 何故ここに来たのかと言うと、たまには福島北部へ足を伸 ばしてみようかと地図を眺めていて「一ノ木」と言う地名が 目にとまった。 なぜかその響きに惹かれるものを感じ、そして一ノ戸川も よさそうだと勝手に思い込んだだけの事ではあった。 前日に降った雨のために地面が濡れており川も増水して いたが、一ノ木を過ぎて大きな堰堤を越えるとささ濁り程 度のいい感じである。 早速に竿を出してみると一時間ほどで釣れたのは7寸ほ どだが、ここの景色に負けない実に綺麗なピンシャン・イ ワナだった。 「よーし」と呟いてリリース、明日に期待して宿を確保する 事にする。 一ノ木に戻ると「倉」の民宿、「蔵」だったか定かでないが 看板が目に止まり泊めてもらう事にした。最近改装したら しく真っ白な壁で、中の作りはさほど変わった様子は無か った様な気がする。 客は私だけだったが朝起きてみるともう一人が隣の部屋 に泊まったらしい、隣と言っても障子で仕切られているだ けだ。 朝食を済まし、お勘定を払っていると、 「イヤー参った・・・」などと言いながらとなりの客が顔を出 した。 宿のオカミさんが「本人はわかんねーだよ」と笑いながら 「だいぶ歩いたんダッぺー」と。何の事か解らずに「くら」を 後にした、イワナが待っているのだから。 昨日の場所から上へ入る、濁りはすっかり取れて青空を 写し輝くようだ、しかしお魚さんの方もすっかり・さっぱりし たものでまるで反応が無いではないか。 二番手どころか三番手もお留守番も居てません、支流に お伺いを立ててもあきまへん。ほなサイナラ! ![]() 手ぶらでご帰還だ後に残ったのは「くら」での意味不明の会 話だけ。 「イヤー参った・・・」と「本人はわかんねーだよ」。 ふと思い出した、取引先の招待で各地から集まって旅行を した時の事。 二人部屋で初対面の人と相部屋になり、二泊目の夜中に 物音で目が覚めた。相手がスタンドの明かりを付けて何やら 書きものをしている、イヤ・していやがる。 時刻は解らないが夜中だ、「まいちゃうなー」と不機嫌な声 で寝返りを打ってやった。 すると、 「言うまいと思ったけど・・イビキがひどくて眠れないんですよ」 更に「昨日は我慢したけど」・・・<*@ % # >・・・。 随想記メニュー |