渓 流 随 想 (三十六)

会津大川、一年限りの穴場

ブッシュが少しまばらな個所を見つけ、木の枝の間から
1mほどにちじめた仕掛で毛鉤を落とす。
とたんに大型がヌっと出た、すかさず合わせたが竿が枝
に当って合わせが効かず岩魚は足元でポロリ。
跳び込みたい衝動に駆られたが、後の祭でバラシは当
然の結果なのだった。

      この写真は後にデジカメSANYOで撮った

魚が居るのを確信していながら・・合わせが効かない事
も解るはず・・なのにである。
しかしこんな所にも尺岩魚は居るんですねー、いやこん
な所だから居るんですね。

97年5月
ここは昼飯を食べていて見付けた、浅い堰堤のプールで
ライズを見たのだ。
コンビ二で弁当を買い、セセラギをオカズに加えて食べ
ようと土手に車を止めてのランチッチ。あいにくトロンとし
た流れでセセラギは聞こえなかったが、それより美味し
そうなライズを発見。
そっと近付いて目をこらすと微かに小判マーク、しかし長
めのテンカラを打ったがまるで反応無しだった。

日を改めて対岸に入ってみると、この日も他には畑以外
には人影はない。ライズめがけて身を乗り出すようにテ
ンカラ、繰り返し打ちかえしてもなーんも反応無しの敏感
ヤマメ。
どうしたら良いのやらと早めのランチッチおにぎりをムシ
ャムシャと、しゃがみ込んだまま竿を振ると岸際に毛鉤
が届く。
モコッと何かしら動いたような、仕掛を提灯に変えて岸
際で躍らせる・・・ヌっと出てパクリ、22cmほどだが太っ
たイワナだ。

    顔つきより体と尾ヒレが大きいダム型、オートボーィ

足元の葦もと/?にイワナが潜んでいた、それも1m置き
に三匹もである。
他はブッシュで竿が出せないがこの岸際にまだ居るのは
間違い有るまい、と場所探し。
で、見付けたポイントでの冒頭の尺バラシのおそまつと
相成った。チョン!

それから幾度か行きがけの駄賃や帰りがけの土産を頂
きに立ち寄った、正に秘密の穴場である。
だが幸せの穴場はそのシーズン限りで終わった、大水
の為に流れが変り全く釣れなくなってしまった。
しかし、また流れが変わって岩魚が戻る日が来るかもし
れない、そう願って時々立ち寄っている。
今年で四年目、今のところその気配はないが近くを通れ
ば一度は覗くに違いない。

まだお魚さんを持ちかえることが多かった97年の事。
たいてい毛鉤は持っていたが、この年さらに「てんから」をた
めす機会が多くなり
シーズン終わり頃にはメインとする。
そして暫く餌禁止と決める。


記2001 3/20

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